とはずがたり

ぬるま湯の中 首までつかってる いつか凍るの それとも煮え立つの

2015年活動報告〜7月〜

7月は複数回観たい作品が多くて取捨選択するのが大変でした。
結果的には観過ぎなので反省はすべきですが、後悔はしていません。遠征含め、大満足の1か月でした。

  • Equal-イコール-@赤坂REDシアター

LUNA ver.を観ました。
7月は遠征もするし、早々に「観ない」と決めていたはずなんですが、赤坂版のイコールを観ていた方からTRUMP的な要素もあると聞いてから迷いはじめ、気づけばチケットを探しているという状況に…。ただその時点で各種先行はもちろん一般も終わっている段階だったので、幸か不幸か、チケットが手に入りそうになく、あきらめるにはちょうどいいなあなんて思っていたのですが。運良く、追加販売か何かのタイミングに居合わせ、あっさり取れてしまったのでした。
現段階でDVDは観ていないので、観劇のたった1回の記憶でどうこう言えるような作品ではないと思うのだけれど、一言で表そうとするなら観劇後の私は「大混乱」。末満さん的に言うと「錯綜」。これに尽きる。あと、すえみつさんはほんとに輪廻が好きだよね。私も好きだけど。


LUNAを選んだのは日程の兼ね合いでしかなくて、正直、どちらかといえば辻本くんのSTELLAが観たかったんですが、結果としてはルナで良かったと思っています。まあ、ルナ/ステラどちらも観られればそれがベストだけど、でも、どちらかしか選べないのだとしたら、今回はルナを観ることができて良かったと心から思えます。そのくらい、けんきさんのお芝居が魅力的でした。柔らかい雰囲気の中に芯の強さや掴みどころのない闇みたいなものを秘めてる感じ?ほわほわしてるのに刺激的っていうか?実質TRUMPぶりにけんきさんのお芝居を観て、三津谷さんの相方でしか無かったけんきさんを、ここにきてようやくしっかりと役者として認識したような気がします。反省しかない。その後の幽機交流領域での裏話によれば急なキャスト変更でルナ組は相当大変だったようだし、ここのところ三津谷さん以外のDのメンバーってお芝居ではなくてイベントで観る機会の方が多くなっているので、こうして「役者・山口賢貴」を観るきっかけになって良かったなあと思います。
それにしても圭ちゃんのことは気になります。去年のフラ負けも7月だったし、この時期に体調を崩しやすいのか、それとも何か慢性的な疾患なのか。もはやただの体調不良だけでお茶を濁し続けられるような療養期間ではないと思うのだけれど。圭ちゃんファンはどう思っているのだろうか。

  • 【第二章】学蘭歌劇『帝一の國』−決戦のマイムマイム−@AiiA 2.5 THEATER

この作品は本当に楽しい。何よりも脚本が面白く、みみこちゃん含めキャスト陣のビジュアルも良い上に、パロディも嫌味がないし、帝一パパ(というか大堀さん)の面白さはもはやズルいし。幕が開いてからずーっと楽しいお祭り舞台のようであって、締めるところは締めるという実力者揃いのキャスティングもいい。原作ファンに好評なことも更に嬉しい。
光明ちゃんは言わずもがな可愛かったです。三津谷さんは本当に素晴らしい女優力をお持ちです。
森園先輩はおいしい役ですよね。元気さん良い役もらったねっていう上から目線と元気さんの歌声に懐かしさを感じながら観ていました。TLでも森園先輩のソロは泣けると評されていて、正直むず痒いんだけれど、それよりも元気くんはダンスリーダー的なことをキャストに言われているのが一番不思議でならないと思っています。(元気さんのことは大好きです。)


第三章で終わってしまうのはさみしいけれど、存分に楽しみたいと思います。

  • キャンディ遊園地、1705。@KAVCホール

詳しくは遠征の記録を。
はやくDVD届かないかなあ。

  • 女中たち@シアタートラム

AとBを1回ずつ観ました。7月じゃなかったら2回ずつは観ときたかったなあなんて思いつつ…。
B→Aの順で観たんですが、Bを観た日は田園都市線が止まり、それどころか都内で事故が多発し各線が止まるという事態に見舞われ、それに応じて道路も渋滞という八方ふさがりの中で、状況を考慮して10分遅れで開演してくれた制作さんにも間に合うよう抜け道を通ってくれたタクシー運転手さんにも感謝です。この時の私は人類みんなに感謝!!っていうレベルで興奮してたから、正直言って冒頭の数分は冷静には観られなかったんですが、なんとかシアタートラムに辿り着けた感動の方が勝ってたのは大目に見てほしいです。だって、ほんとに私が着席したらすぐ始まったんだよ?あと1分でも遅かったらダメだったんだよ?わー今思い出しても興奮するわ。
で、終了後の感想ツイートとしてはこれ。


すごいしか言ってなくて、頭悪いにも程がある。
頑張って言葉にすると、まず個人的にシアタートラムみたいに幕がなくて開けた劇場が好きなんですが、あの空間を巧みに使った演出がたまらないんですよね。セットも檻のような感じで、とにかく息苦しいんです。観てるだけのはずなのに呼吸の仕方に迷う瞬間があって、中屋敷さんの演出は客席までコントロールするから凄いと思います。(結局すごいしか言えない)
千秋楽であるAを観たあとの脳直ツイートだけど…


戯曲を読むとソランジュとクレールは「奥様と女中ごっこ」をすると書いてあるんですよね。「奥様ごっこ」ではなく。ソランジュなのかクレールなのか、演じる方も観ている方も分からなくなっていってしまうような、そんな感覚を抱くのが、この戯曲を楽しむ要素のひとつなのだとしたら、中屋敷さんが言い放った「女中たちはダブルでしかあり得ない」という言葉にも納得がいくわけです。
作品を読み解くのは面白いし好きだけれど、ジャン・ジュネの思考回路は難しすぎて理解や共感ができるような代物ではないと思うんです。ソランジュは自分の姿のままではなく妹のクレールとして「ごっこ遊び」に興じるわけで、姉妹の関係性とかもいろいろあるとは思いますが、劇中の女中たちのように二人の役者が自分と相手を混同し堕ちていく様を堪能できればそれで良かったのではないか、と思っています。一方でAだろうとBだろうと変わらない奥様の存在が混乱に拍車をかけるんですよね。相手が違えば変わっていくのが芝居というものだと思うのだけれど、そのなかでブレない多岐川さんもすごかったです。
中屋敷さんが、舞台上の役者と観客は『役として観る/観られる』という契約を結ぶ、それがとてもセクシーだというようなことを言っていたことがあるけれど、この作品はそれが顕著に表れていたと思います。動線が決まっていなくても成立するのは、その契約があってこそ。それはもう「演じる/なりきる」というものではなく、自分なのかソランジュなのかクレールなのか、三位一体のように馴染んでいく、ということなのかもしれません。
8月のONOFFイベで碓井くんが「役者のための舞台だった」と言い、矢崎さんも「役者の身体をみせるための舞台だった」と同意していたけれど、ラスト近くのソランジュの独白はまさにそうだったと思います。嫉妬なのか怒りなのか憎しみなのか、様々な感情が渦まく中でじっと立ち尽くし、事の顛末を語る姿は目に焼き付いて離れてくれない。
先日DVDが届いたので観直したい気持ちはありますが、あの息苦しさをDVDを観ることで上書きしたくない気持ちと、映像で確認したい気持ちと、再びソランジュの独白を聞きたい気持ちと、私の感情も混沌としています。